VOL.4 青森/八戸のせんべい汁

青森県八戸市の「せんべい汁」は、根菜や葉物、鶏肉や魚を入れた旨味の濃い汁に、パリッと固い南部せんべいを浸して食べる一風変わった郷土料理。入れたてのせんべいはアルデンテのように芯が残り、煮込むうちに出汁が染みてとろっと食感が変化していく。食べる人によって固さの好みも様々だ。
せんべい汁は昔も今も普通の日に食べる料理で、入る具材や味付けも各家庭によって少しずつ異なるそう。今回お話を伺った小笠原さん曰く「せんべいを入れたらせんべい汁」と、かなり自由度が高く懐の深い料理である。冷蔵庫の食材とせんべいさえあれば作れる気軽さ。鍋一つで栄養が摂れて、満足度も高い。食べ継がれる郷土料理は愛される理由がたくさんあるのだ。

山口祐加/自炊する人を増やすために活動する料理家&食のライター/料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、執筆業、動画配信など幅広く活動中。