VOL.2 宮崎/日向のガネ

宮崎県で老若男女問わず愛される「ガネ」は、さつまいもと他の野菜を一緒に揚げた郷土料理。米粉を入れた衣のカリッとした口当たりと、さつまいもの素朴な甘みに手が止まらない。食物繊維やビタミン豊富で身体にも良く、日常に馴染んだおかずでありおやつでもある。
名前の由来は、揚げた姿がカニに似ており南九州の方言でカニを意味する「ガネ」と名付けられた。鹿児島県でも食べられているが宮崎県南西部が薩摩藩だった名残で宮崎県でも食べられており、地域によって入れる食材が少し異なる。海が近い日向市では、ちりめんで旨みを加える。残ったガネは翌日、天丼にするのだそう。愛され続ける食べ物は、最後までうれしい気持ちにさせてくれるのだった。

VOL.3 大分/竹田のあいまぜ

大分県竹田市に古くから伝わる「あいまぜ」は、ぜんまいや干し椎茸を炒めて甘辛く味付けたものと、豆腐で作った白和え衣を「あえて・まぜる」郷土料理だ。食材それぞれの異なる食感をなめらかで甘い和え衣が包み込み、紅生姜のアクセントが効いた食べ応えのある一品。昔から法事の際に食べられていたため、基本的には植物性のものしか使わないが、現代版は旨みを加えるためにいりこを使ったり、彩りにほうれん草を入れたりすることもあるのだとか。
地域の集まりごとがあるとあいまぜを持ち寄る人がいて「懐かしくて、うれしい」と喜ばれる。いなくてはならない、隠れた人気者のあいまぜ。地味だけど滋味深い味が、これからも食べ継がれていきますように。

山口祐加/自炊する人を増やすために活動する料理家&食のライター/料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、執筆業、動画配信など幅広く活動中。