伝えたいコト

伝えたいコト 語り継ぎたい、まかない飯

text:Yuka Yamaguchi
photo:Masaru Kuroki (VOL.2 日向のガネ),
Nobuhiro Asada (VOL.3 竹田のあいまぜ)
coordination:Aya Comicado (VOL.2 日向のガネ),
Mie Saito (VOL.3 竹田のあいまぜ)

VOL.2 宮崎/日向のガネ

宮崎/日向のガネ

宮崎県で老若男女問わず愛される「ガネ」は、さつまいもと他の野菜を一緒に揚げた郷土料理。米粉を入れた衣のカリッとした口当たりと、さつまいもの素朴な甘みに手が止まらない。食物繊維やビタミン豊富で身体にも良く、日常に馴染んだおかずでありおやつでもある。

名前の由来は、揚げた姿がカニに似ており南九州の方言でカニを意味する「ガネ」と名付けられた。鹿児島県でも食べられているが宮崎県南西部が薩摩藩だった名残で宮崎県でも食べられており、地域によって入れる食材が少し異なる。海が近い日向市では、ちりめんで旨みを加える。残ったガネは翌日、天丼にするのだそう。愛され続ける食べ物は、最後までうれしい気持ちにさせてくれるのだった。

材料(4人前)

  • さつまいも……2本
  • にんじん……1/2本
  • ゴボウ……1/2本
  • ちりめんじゃこ……20g
  • 揚げ油……適量
  • [衣]
  • 小麦粉……大さじ4
  • 米粉……大さじ3
  • 卵……1個
  • 水……50ml〜100ml
  • 塩……小さじ1/4

作り方

  • 1. フライパンに油を入れて 160℃に熱しておく。
  • 2. さつまいもは7〜8mmの斜め輪切りにした後に千切りする。にんじんは縦4〜5cmにした後、千切りする。ごぼうはささがきにする。ちりめんじゃこは塩がきつければサッと熱湯をかける。全部をボウルに入れる。
  • 3. 小麦粉を大さじ1とり②の中にいれて全体にまぶす。
  • 4. ボウルの片側に③を寄せて、空いたところに卵を割り入れて溶く。水を半分ほど入れてさらによく混ぜ合わせたら粉類と塩を入れて全体を混ぜる。具材がひとまとまりになる程度のゆるさに水を加えながら調整する。
  • 5. 食べやすい分量に箸でまとめて揚げ油の中にそっと入れ、3〜4分、衣がカリッとするまで揚げる。

VOL.3 大分/竹田のあいまぜ

大分/竹田のあいまぜ

大分県竹田市に古くから伝わる「あいまぜ」は、ぜんまいや干し椎茸を炒めて甘辛く味付けたものと、豆腐で作った白和え衣を「あえて・まぜる」郷土料理だ。食材それぞれの異なる食感をなめらかで甘い和え衣が包み込み、紅生姜のアクセントが効いた食べ応えのある一品。昔から法事の際に食べられていたため、基本的には植物性のものしか使わないが、現代版は旨みを加えるためにいりこを使ったり、彩りにほうれん草を入れたりすることもあるのだとか。

地域の集まりごとがあるとあいまぜを持ち寄る人がいて「懐かしくて、うれしい」と喜ばれる。いなくてはならない、隠れた人気者のあいまぜ。地味だけど滋味深い味が、これからも食べ継がれていきますように。

材料(4人前)

  • ぜんまい……30g
  • もめん豆腐……1丁(400g)
  • 干し椎茸……中3枚
  • 切り干し大根……30g
  • こんにゃく……1/2枚
  • にんじん……30g
  • 紅生姜……少々
  • いりごま……大さじ4
  • サラダ油……適量
  •  
  • A…だし汁 小さじ1、砂糖 小さじ1/2、あまくち醤油(醤油で代用可) 少々
  • B…あまくち醤油 大さじ1と1/2、みりん 大さじ1、砂糖 大さじ1
  • C…だし汁 小さじ2、椎茸の戻し汁 大さじ5
  • D…塩 小さじ1/2、砂糖15g

作り方

  • 1. 干し椎茸と切り干し大根は水で戻し、干し椎茸の戻し汁は残しておく。ぜんまい、干し椎茸、切り干し大根、こんにゃく、にんじんは全て長さ3cmの千切りにする。
  • 2. もめん豆腐は茹でて水切りをする。ザルにあげて、茹でた豆腐を崩し冷ましてからふきんで水気を切る。すり鉢でいりごまをすり、豆腐を加えて滑らかになるまですり合わせる。Ⓑを加えて和え衣を作る。
  • 3. フライパンに油を入れ、ぜんまいを炒める。Ⓐを加えて味を染み込ませる。ぜんまい以外の具材を全て加え、Ⓒを加えて炒める。
  • 4. 最後にⒹを加えて混ぜ、味を調える。
  • 5. ②と④を合わせて混ぜ合わせる。皿に盛り、紅生姜をお好みで乗せる。

山口祐加/自炊する人を増やすために活動する料理家&食のライター/料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、執筆業、動画配信など幅広く活動中。