地域で暮らすコト

地域で暮らすコト 移住の教科書

vol.1 大阪 ジョルさん(はらいそSparkle店主)
  • photo:Yoshiki Okamoto
  • text:Yuko Tanaka

いずれ、いつか、そのうちに。なかなか具体化しないジョルさんの「夢」を後押ししてくれたのは、大阪の街でした。

関西から上京して広告会社に就職するときには、いつか飲食をやろうと決めてました。大学時代、バーで働く人や場に魅入られて。とはいえしばらくはただの「夢」で、転機は東日本大震災。大きく揺れるビルの中、「やらへんまま死ぬのはイヤやな」と思ったんです。その後、尊敬していた飲食業界の方に大阪で店を立ち上げようと誘われ、「やります!」と即答。そこを経て、昼間の居酒屋を間借りしてカレー屋をはじめ、後にスパイス居酒屋を開きました。

ぼく、いつも「大阪に帰ってきた」って言ってますが、実家は奈良だし大学は兵庫(笑)。でもここはお酒と出会い、大人としてのアイデンティティができた場所だから、うそ偽りない本心です。最近は街で、いろんな人から「ジョルくん」って声をかけられます。みんながなんとなく知ってる「街の人」になれてるのかなって、うれしいですね。

はらいそSparkle/店主ジョルさんの個性が滲む、スパイスと出汁薫るカレーが週替わりで数種類提供される。夜はお酒とおつまみのみのオーダーもOK。

  • 大阪府大阪市西区江戸堀1-9-13 肥後橋双葉ビル 2F

  • 06-6448-0234
  • 11:30~15:00、18:00~22:00

  • 日曜・祝日

vol.2 京都 関祥汰さん(柴田織物 弟子)
  • photo:Ryo Yoshiya
  • text:Chihiro Kurimoto

北海道出身で、東京へ進学したのちに京都府北部へ移住した関祥汰さん。移住者の少ない土地に飛び込む楽しさとは?

東京ではテキスタイルの勉強をしていて、愛知や兵庫、群馬など布の産地を巡りました。なかでも丹後ちりめんの柴田織物は常に新しいことに挑戦していたので、弟子入り志願したんです。

丹後半島の付け根にある与謝野町は山と海に囲まれ、何よりご飯がおいしい。今は山の上にある築300年の平家を借りていて、6LDKで月2万円。でも、大家さんが「人がいてくれたほうが助かるから」と、まだ家賃を払ったことがありません(笑)。移住者が少ないので最初は不審がられましたが、オープンに接すればみんな親切。繊維産業に携わってきた人たちも多いから、昔の話を聞かせてくれます。

草刈りに川掃除と、東京では税金を使って業者に頼むようなことも、ここでは自分たちでやるんです。本来生きるために必要なのに忘れていたことを、今になって取り戻している感覚です。

柴田織物/丹後ちりめんの中でも特殊な加工を施す「縫取ちりめん」を手掛ける。図案の作成から、製織、販売までを一貫。伝統的な柄だけでなく、ヘビや迷彩など新たな挑戦も。

  • 京都府与謝郡与謝野町三河内869-2

  • 0772-42-2843
  • 9:00~18:00

  • 日曜・祝日