市内8施設の送迎共同化を支える「らくぴた送迎」の利便性
やす地域共生社会推進協会(滋賀県)
続きを読む
導入事例
社会福祉法人聖隷福祉事業団(静岡県)
2025/10/01
送迎の規模:110名/日
聖隷デイサービスセンター初生
所長
浅地 嘉紀 様
聖隷デイサービスセンター三方原
所長
村上 和文 様
聖隷リハビリプラザIN高丘
所長
室谷 健吾 様
静岡県浜松市を拠点に、医療・保健・福祉・介護にまつわる事業所を全国に展開している社会福祉法人 聖隷福祉事業団様。今回、お話を伺ったのは、その中でも浜松市中央区に拠点を置く3つの介護施設の皆様です。初生町・三方原町・高丘東という3地区をつなぎ、一部の送迎を合同化する取り組みが始まったのは2024年1月のこと。
「私ども初生ではすでに2021年から施設単体で、らくぴた送迎のシステムを導入していて、その利便性も実感していました。そんな矢先、当法人内の別施設で、同一敷地内にある3つのデイサービス事業所をつなぐ共同送迎の実装に、私が協働担当者として取り組むことになりました。そこで手応えが得られたので、次は距離の離れた事業所間でも共同化をやってみようということになり、2023年の終わり頃からダイハツさんと準備を始めたんです」(初生・浅地様)
「近年頭を悩ませていたのがドライバー確保のむずかしさです。ドライバーの代わりに介護スタッフに送迎業務の負担がかかって、超過勤務にもつながっていました。そんな中で今後の持続可能性を考えると、送迎の共同化は避けて通れないものだったと思います」(高丘・室谷様)
「加えて、複雑な送迎の事情を把握しているのが限られた職員だけで、送迎計画作成が属人化していたことも課題でした。さらに運用も紙ベースで、ドライバーはパソコンで作成した送迎表をその都度プリントアウトして送迎に向かうという非効率な方法だったんです」(三方原・村上様)
3施設での共同送迎に先立ち、各施設では、関係する利用者様や職員との合意形成に向けたコミュニケーションを丁寧に行ってきました。
「他の2施設が運動中心の短時間型施設であるのに対し、私ども初生は滞在型デイサービスで、利用者様の要介護度もさまざまです。そこで私どもではまず自力で歩ける方を中心に、走行ルートも考慮して共同送迎にご協力いただく方を選定させていただきました。その上で、その方々には、ドライバーの確保がむずかしい現状などもご説明して、お迎え時間に変動が生じることなどもご理解をいただきました」(初生・浅地様)
「職員に対しても、丁寧な合意形成は欠かせませんでした。すでにらくぴた送迎を導入していた初生と違って、私どもや三方原はシステム導入自体が初めて。送迎計画と運用のIT化に対しては、職員から戸惑いの声もあったんです。そこで何を不安に思っているのか、職員の声に耳を傾けつつ、持続可能な施設運営のためには必要な変化なのだということもしっかり伝えるようにしました」(高丘・室谷様)
「送迎計画作成の業務が属人化していた頃は、どうしても作成担当の職員の主観に左右される部分が多かったと思います。そのため、時には作成担当者と運転担当者の間で、意見が食い違うこともありました。その点、らくぴた送迎というシステム上で合理的に示される最適解は、職員にとっても納得感が高いですね」(三方原・村上様)
丁寧な対話を経て運用開始した、3施設の共同送迎。1年半ほど経った今では、IT化やペーパーレス化への不安が解消され、職員の間でも「らくぴた送迎」は、「なくてはならないもの」として定着しているそうです。
「プリントアウトした送迎表や地図など、運転席で何枚もの紙を見なければならなかった頃に比べれば、経験が浅い職員でも送迎がしやすくなりました。面識のない利用者様のところへ初めてお迎えに行く時も困らなくなったという声を、職員からよく聞きます。利用者情報や地図アプリ連携が充実しているおかげですね」(高丘・室谷様)
「その利用者情報の登録なども、慣れないうちはダイハツさんによくオンラインでサポートしていただきました。またダイハツさんには、職員との合意形成に向けたコミュニケーションもお手伝いいただいて非常に助かりました」(三方原・村上様)
「職員の超過勤務が解消されたことは、何より喜ばしいことです。また以前はいろんな車両があっちに出たりこっちに出たりと細切れに動いていたのが、ある程度集約されて、車両の稼働回数も減っています。今はまだ朝のお迎え便の一部共同化が実現できたところですが、いずれお送り便も共同化できればと思っていますし、共同送迎の拠点が増える可能性もあると考えています」(初生・浅地様)
そしてもうひとつ、共同送迎がもたらしたのが、「施設の垣根を超えた横のつながり・一体感」。それを育む場となっているのが、送迎にまつわる月例ミーティングです。そこでは、送迎に関わる担当者が、日々感じている課題を持ち寄り、その解決のためにみんなで知恵を絞っています。
「利用者様の顔ぶれも身体状況も、常に変わり続ける以上、送迎ルートは一度決めたら終わりではなく、絶えずアップデートしていかなくてはなりません。場合によっては、利用者様が少なくなった地域は、施設単体の個別送迎に切り替え、共同送迎をほかの地域に振り分けるという判断も必要になります。」(高丘・室谷様)
「そんな時でも、らくぴた送迎が示してくれる最適解にもとづいて、建設的な議論ができるようになりました。今では現場の職員たちが自発的にルート組み変えや検証なども行ってくれています。毎月話し合うことはたくさんありますが、そうやって密な時間を一緒に過ごすことで、同じ目的を共有する仲間だという意識はより高まった気がします」(三方原・村上様)
「本来、私たち3施設が連携しあえば、もっと地域の介護ニーズに幅広く対応することができるはずです。ですから、共同送迎によって施設間の交流が生まれ、お互いの施設の強みを知れたことは非常に大きな意味があると思います。また利用者様にとっても、他施設のスタッフとの面識が生まれたことにはメリットがあります。たとえば将来、他施設に移ることになっても、送迎で顔を合わせたことのある職員がいることは大きな安心感につながりますから」(初生・浅地様)
送迎共同化がもたらしたのは、目に見える実利だけではなく、「利用者様・職員との心のつながり」という経営資源でもあった、と語ってくださったお三方。地域に密着した介護サービスの未来に、「らくぴた送迎」が貢献できることはまだまだありそうです。