「COPEN GR SPORT」の開発に際して、最もこだわったポイントは?
長友: じつは我々の車両性能開発部では、GR SPORTの企画が立ち上がる以前から次世代のCOPENについて構想を進めていました。
西田: 私は2代目COPENの開発にも携わりましたが、2代目COPENはモータースポーツの入り口となるクルマ、誰が乗っても楽しく、乗ると運転が上手くなった感じがするようなクルマを目指して造りました。また、COPENはファンが多いクルマですから、もっとゴリゴリに走りたいというユーザーのためにSグレードを追加しました。こうしてSTANDARDグレードとSグレードという両極端なモデルが揃ったわけですが、まだやり残したことがあると感じていたのです。
長友: Sグレードはサーキット走行にも耐えうるように設定したクルマですから、足回りもそれに特化したものにせざるを得ない。そうするとどうしても乗り心地はゴツゴツした感じになります。しかしスポーツ性を保ちながら、もう少し乗り心地のよいクルマがあるといいなと思っていたんですね。方向性としてもっと走りの質感を上げたい、振動を軽減して、しなやかで乗り心地をよくしたいという思いがありました。そこで先行検討という形でいろいろと試行錯誤をしていたのですが、本格的な開発としては動き出せていませんでした。ただCOPENをもっとよくしたいという気持ちはみんな持っていたんですね。商品企画室も同じようなことを考えていて(※インタビューvol.1参照)、そこにちょうどGR SPORTの企画が立ち上がったというわけです。
西田: TOYOTA GAZOO Racingも含め、みんなの思いが合致したんです。
長友: しなやかな走りという目指す方向性は同じだったので、スムーズに開発に取り組めましたね。