ダイハツ タント 試乗レビュー

※この記事は価格.comで2016年12月に掲載されたレビュー記事を転載しています。

スーパーハイト系軽自動車の先駆けとして、絶大な人気を誇るダイハツ「タント」。その人気の背景には、Bピラーを前後のドアに内蔵することで幅1,490mmもの広いドア開口部(助手席側)を実現した「ミラクルオープンドア」や、室内に広々スペースを生む助手席&後席の「シート ロングスライド機構」など、“「タント」ならでは”の独自機能がある。ここでは、ファミリー層や子育て世代の心をガッチリとつかんだこれらの利便性を改めてチェックするとともに、2016年11月に進化した衝突回避支援システム「スマートアシスト Ⅲ」の高い安全性も確かめていくことにしよう。

乗降性も積載性も軽自動車トップレベル。「タント」自慢の使い勝手をチェック

国内の自動車市場で、大きな存在感を放っている軽自動車。とりわけ人気が高く、多くのクルマがひしめいているのが、全高1,700mm以上の「スーパーハイト系」や、全高1,550~1,700mmの「ハイト系」と呼ばれる「室内の広さ」を大きな特徴とするカテゴリーだ。その中で、なぜ「タント」は多くの人から選ばれているのだろうか? その理由は、3,395(全長)×1,475(全幅)×1,750(全高)mmという取り回しのよいボディに、使い勝手にすぐれた“タントならでは”の独自装備が数多く搭載されていることにある。

なかでも特徴的なのが、助手席側に備えられた「ミラクルオープンドア」だ。これは、前後のドアの間の柱となるBピラーを、前後のドアに内蔵することで、幅1,490mmものドア開口部を実現したもの。この広大な開口部が、ファミリー層にとってとてつもなく大きなメリットとなっているのだ。たとえば、子どもを抱っこしながらの乗り降りや、ベビーカーなどの大きな荷物の積み込み、チャイルドシートに座った子どもの世話などの際、Bピラーに腕や荷物をぶつけてしまったり、乗り降りや作業がしにくかったりといったストレスを感じることがある。これまでは「仕方ない……」とあきらめるしかなかったが、Bピラーをドアに内蔵した「ミラクルオープンドア」なら、こうしたストレスとは無縁で、サッと乗れて、スッと積める。毎回の乗り降りや作業の負担が劇的に減る、実に「家族にやさしい」設計なのだ。

ファミリー層から絶大な支持を集めるダイハツ「タント」。人気の理由は、3,395(全長)×1,475(全幅)×1,750(全高)mmという、扱いやすいボディサイズに、「タント」ならではの使い勝手を高める装備が数多く搭載されていることにある。今回検証に使用したのは、「タント X“SA Ⅲ”」で、ボディカラーは「ファイアークォーツレッドメタリック」だ

助手席側から見ると、一般的なスーパーハイト系軽自動車と同様、Bピラーがあるように見えるが、実は、そのBピラーはフロントドアの後端部と、リヤスライドドアの前端部に内蔵されている。そのため、前後のドアを開くと左写真のように1,490mmもの広大な開口部が出現する

もちろん、「タント」の使い勝手のよさを支える機能は「ミラクルオープンドア」だけではない。キーをバッグなどの中に入れたままでもドアハンドルのスイッチを押すだけで開閉できる「パワースライドドア」や、助手席は最大380mm、後席は左右独立でそれぞれ最大240mm前後にスライドする「シート ロングスライド機構」など、さまざまな便利機能を装備。これらが「ミラクルオープンドア」と組み合わさることで、まさに“タントならでは”の使い勝手のよさが実現されているのだ。というわけで、ここではこれらの利便性を実際に体験してみることにしよう。

車内に乗り込む前に「便利だな」と感じたのが、キーを所持していればドアハンドルのスイッチを押すだけで開閉できる「パワースライドドア」。キーをいちいちバッグなどから取り出さなくてよいため、荷物を抱えているときや、子どもの手を引いているときなどでも、ワンタッチで開閉できるのがうれしい

助手席シートには、ミニバンなどに採用されることの多い「ロングスライド機構」が採用されている。そのスライド量は最大380mm。助手席を一番前までスライドすると後席の足元には最大695mmもの広いスペースが生まれる

助手席シートを一番前にスライドさせた状態で、後席の足元スペースにどれほどの荷物が乗るものなのか? ここでは、タイヤサイズ18インチの子ども用自転車を積載してみたが、「ミラクルオープンドア」のおかげで積み込みは驚くほどスムーズ。また、高さ370mmに抑えられた低床フロア設計のため、自転車を少し持ち上げるだけでヒョイとラクに積み込めた

長さ約120cmのカーペットを助手席側からラクラク積み込めたのも、開口部の広い「ミラクルオープンドア」のおかげ。助手席の背もたれを前方に倒し、後席を足元スペースに格納するダイブイン機構を使って、助手席から後席、ラゲージフロアへと続く広大なフラットスペースを作り出せるのも見逃せないポイントだ

雨の日のクルマの乗り降りは、どれほど素早く行っても、必ずと言っていいほど濡れてしまう。しかし、「ミラクルオープンドア」なら、傘を開いたままでも乗り降り可能。これなら、荷物やお気に入りの洋服が濡れてしまう心配も少なくなる

後席も、左右それぞれのシートを前後に最大240mmスライドできる「ロングスライド機構」を採用している。ゆったりと座りたいときには最後方へ、運転席や助手席から手の届く位置に子どもを乗せたいときや、ラゲージスペースに多くの荷物を積む場合には最前方へ、といった具合にさまざまな使い方が可能だ

後席の広さやゆとりはどんなものか。男性スタッフが運転席に座った状態で、身長167cmの女性スタッフが後席に座ってみた。後席は最も後方へスライドさせた状態だが、ボディサイズに制限のある軽自動車とは思えないほど、頭上や足元スペースには余裕が感じられた

さらに、室内の小物収納や便利機能、ラゲージルームの利便性も気になるところ。子どもの飲み物やおやつ、おもちゃや着替えなど、車内に持ち込む荷物が何かと多くなりがちなファミリー層ならなおのことだろう。続いては、「タント」の小物収納や便利機能、ラゲージルームの利便性はどうか。詳しく見ていこう。

車内を見渡すと、ひと工夫を加えた小物収納や便利機能がそこかしこに見て取れる。助手席の背もたれを前方に倒せば、シートバックが簡易テーブルに早変わり。飲み物やおやつを並べて、ゆったり休憩タイムを過ごすことができる。運転席のシートバックにはサイズの異なる3つのポケットが用意され、ここに子どもの退屈防止グッズをしまっておけば、渋滞時に活躍すること間違いなし。助手席側インパネトレイには財布などの小物を収納できるほか、カップホルダーももちろん完備している

ラゲージルームの積載性を確かめるため、約35(幅)×22(奥行)×35.5(高さ)mmの買い物袋を用意。後席にゆったりと座れるスペースを確保しつつも、4つ分の買い物袋を並べることができた。ゆとりのあるラゲージフロアは、買い物好きにはうれしいポイントだろう

インパネ周りはすっきりとした印象で、各操作スイッチは運転席から自然と手の届く使いやすい位置にレイアウトされている。ただ、使いやすさを前提にしながらも、センターコンソールにはピアノブラック調の仕上げが施されるなど、細部の作り込みにこだわりが感じられる

「スマートアシスト」が大きく進化した「スマートアシストⅢ」を新搭載し、軽自動車トップクラスの安全性を実現

使い勝手もさることながら、ファミリー層のクルマ選びでは「安全性」も非常に重要なポイントだ。軽自動車に対しては、そのコンパクトなサイズから、安全性に対して不安を感じる人もいるようだが、日常生活の“足”として家族を乗せることの多い「タント」はその点でも抜かりがない。ダイハツでは、近年、注目度が高まりつつある先進予防安全機能として「スマートアシスト」と呼ばれる装備を用意しているが、「タント」には、その最新版となる「スマートアシストⅢ」が新搭載されているのだ。

「スマートアシストⅢ」では、フロントウインドウ上部に備え付けられたカメラが、単眼カメラからステレオカメラに進化。車体後部のソナーセンサーとともに、車両の前後の状況をこれまで以上に高精度に検知してくれる。ちなみに、このステレオカメラは世界最小サイズ(2016年11月時点、ダイハツ工業調べ)を実現しており、運転中の視界を妨げにくいのもポイント。実際に運転席に座ってみたが、その存在が気になることはほとんどなく、運転に集中しやすいクリアな前方視界を得ることができた。

なお、「スマートアシストⅢ」の主な機能は、①前方の車両や歩行者と衝突の危険性を検知した場合にはブザー音とメーター内表示で知らせ、さらに衝突の危険が高まった場合には緊急ブレーキが作動する「衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能」、②走行中に道路上の車線を認識し、車線から逸脱しそうになると警報を発して逸脱回避操作をうながす「車線逸脱警報機能」、③アクセルとブレーキの踏み間違いを認識してエンジン出力を抑制し、さらにブザー音とメーター内表示で警告を発する「誤発進抑制制御機能(前方/後方)」、④信号待ちなどで前のクルマの発進に気付かない時に、ブザー音とメーター内表示で知らせてくれる「先行車発進お知らせ機能」、⑤対向車のヘッドランプなどを検知して、自車のハイビームとロービームを自動で切り替える「オートハイビーム」の5つで、多角的に安全運転をサポートしてくれる。

ダイハツ車で初搭載となる「スマートアシストⅢ」の基盤となるのが、フロントウインドウ上部に取り付けられたステレオカメラ。世界最小サイズ(2016年11月時点、ダイハツ工業調べ)だけあって、運転席に腰を下ろしてみても、その存在は気にならなかった

衝突警報機能

約4~100km/hで走行中に、前方約60m以内に車両があることをカメラが検知すると、ブザー音とメーター内表示で警告してくれる「衝突警報機能」。約4~50km/hで走行中、前方約30m以内に歩行者がいることをカメラが検知した場合にも、同様に警告してくれる

衝突回避支援ブレーキ機能

約4~80km/hで走行中、前方約60m以内に車両の存在をカメラが検知し、「衝突警報機能」を作動させても危険回避が行われなかった場合は、段階的に緊急ブレーキが作動する。さらに、約4~50km/hで走行中、前方約30m以内に歩行者の存在をカメラが検知し、衝突の危険性が高まった場合にも同様の機能が作動する

車線逸脱警報機能

「車線逸脱警報機能」は、高速道路などでのふらつき運転を防止してくれる機能だ。約60km/h以上で走行中、左右の車線からの逸脱をカメラが検知するとブザー音とメーター内表示で警報し、逸脱回避をうながしてくれる

誤発進抑制制御機能(前方/後方)

前方約4m以内に障害物の存在をカメラが検知している場合、シフトポジションを「前進」にしたままアクセルペダルを必要以上に踏み込むと、急発進を抑制してくれる。同じく後方に関しても、後方約2~3m先までに障害物があることをソナーセンサーが検知している場合、シフトポジションを「後退」にしたまま必要以上にアクセルペダルを踏み込むと、急発進を抑制してくれる

先行車発進お知らせ機能

信号待ちなどで先行車が発進したにも関わらず、それに気づかず停車していた場合、ブザー音とメーター内表示で知らせてくれる便利な機能も搭載している

オートハイビーム

暗い夜道をハイビームで走行中、対向車などが来るたびにロービームに切り替えるのは面倒なもの。「オートハイビーム」はそんなときに活躍する機能で、対向車のヘッドランプなど、前方の明るさをカメラが検知して、ハイビームとロービームを自動で切り替えてくれる

高強度の鋼板を使用したBピラーを内蔵。広大な開口部でも安全性に不足なし

最後は、「タント」に関して、時おり耳にする疑問にお答えしておこう。前述の通り、「タント」には助手席側に「ミラクルオープンドア」が採用されているが、「Bピラーがなくても安全性に問題はないの?」という疑問を抱く人が意外と多いのだ。

実は、その答えは前述しているのだが、「タント」の助手席側にはBピラーがないのではなく、Bピラーがフロントドア後端部とリヤスライドドア前端部に内蔵されているのである。しかも、この内蔵ピラーには、通常鋼板の3倍以上の強度を持つ「超高張力鋼板」を使用。強度の高いピラーを前後のドアに内蔵することによって、安全性を担保しながら、広々とした空間を生み出しているというわけだ。

また、「超高張力鋼板」の内蔵Bピラーに加えて、フロントドア上下と、リヤスライドドアにはロック機構を装備。ドアとボディを固く結合することで、ドア自体がピラーの役割を果たし、運転席側と同等の強度・剛性を確保している。さらに、万が一の事故の際に乗員への衝撃を緩和するよう、フロントドアとリヤスライドドアにインパクトビームを配置するなど、ボディ各所に安全性を支える周到な装備が搭載されている。これらの装備により、「タント」は独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)による側面衝突における乗員保護性能で5段階評価のうち、最高ランクの「5」を獲得。大切な家族を安心して乗せられる、軽自動車トップレベルの安全性を実現しているのだ。

「ミラクルオープンドア」の強度を支えているのは主に3点。そのひとつが赤色で示した内蔵ピラーで、ここに通常鋼板の3倍以上の強度を持つ「超高張力鋼板」を採用している。もうひとつが、フロントドアの上下と、リヤスライドドアの後部の3か所に配置したドアロックで、ドアとボディをしっかりと結合する。最後が、フロントドア、リヤスライドドア内部に黄色で示したインパクトビームで、万が一の際の衝撃を緩和してくれる

車内から助手席側のドアを見ても、一般的なクルマと何ら変わりないが、赤い点線で囲んだ部分にBピラーが内蔵されているのだ。こうした特殊な構造を採用していながら、インテリアを犠牲にしていないところもダイハツならではの工夫と言える

上質な専用装備が満載された「タント カスタム」にも注目

より質感の高い内外装を備えているのが、「タント」の上位モデルである「タント カスタム」だ。最上級グレードの「タント カスタムRS“トップエディション SA Ⅲ”」には、エクステリアに大型のエアロバンパー&メッキフロントグリルや、LEDイルミネーションランプ、15インチのアルミホイールなどが装備され、軽自動車ながらも押し出し感が強く、威厳すら感じられるデザインとなっている。インテリアも、専用ファブリック×ソフトレザー調シートや革巻きステアリングホイールなど、プレミアム感を強調する専用の内装を採用。それでいて、「ミラクルオープンドア」による利便性の高さや、「スマートアシストⅢ」による安全性の高さも実現されているとなれば、ミニバンやコンパクトカーなど排気量の大きなクルマから乗り換えるダウンサイザーにとっても納得の1台となるはずだ。

まとめ

ドアを開いた瞬間に思わず「お~」と声が出てしまう。そんな驚きや感動が、「タント」の独自装備「ミラクルオープンドア」にはある。大きく広いたドア開口部は見るからに使いやすそうで、実際使ってみても利便性は抜群。子ども用自転車や長いカーペットをなんなく積み込めたり、雨の日には傘を差したま乗り込めたりと、とにかく使い勝手がいい。これだけ便利な「ミラクルオープンドア」が”タントだけ“のものならば、多くの人から指名買いされるのも納得がいく。

これに加えて、「パワースライドドア」や助手席&後席の「ロングスライド機構」、気の利いた小物収納などの便利機能を数多く搭載。さらに、「スマートアシストⅢ」を備えることでより安心・安全に家族で出かけられるのも、ファミリー層にとっては実に魅力的だ。ぜひ、今度の週末はダイハツのディーラーに足を運び、「タント」のドアを開けてみてほしい。きっと家族そろって、「お~」と声が出てしまうはずだ。

ダイハツからのおすすめ

当ウェブサイト上では、スタイルシートを使用しています。ご覧になる際にはブラウザ設定でスタイルシートを有効にしてください。