ダイハツ ブーン 試乗レビュー

※この記事は価格.comで2017年7月に掲載されたレビュー記事を転載しています。

見逃されがちな“いいクルマ”を価格.comがピックアップ ダイハツが作ったコンパクトカー「ブーン」の魅力を総力チェック

軽自動車の取り回しのよさや、車両本体価格&ランニングコストの安さ、燃費のよさなどに満足している人は多いが、そのいっぽうで、ライフスタイルの変化などにより「軽自動車ではちょっと手狭」と感じ始めている人もいるのではないだろうか。そこで有力な選択肢となってくるのが、普通乗用車のコンパクトカー。なかでも、ダイハツ「ブーン」は、ダイハツが軽自動車作りで磨き上げた“大きく使える小さなクルマ”のエッセンスを取り入れることで、他のコンパクトカーとはちょっと違う、キラリと光る個性を持ったクルマに仕上がっている。今回は、そんなダイハツ「ブーン」の魅力を徹底チェックしてみた。

遊び心あふれたスタイリッシュなデザイン

昨今の軽自動車を見ていて感じるのは、「どうしてそんなに人気なの?」という疑問ではなく、「そりゃあ売れるよな」という納得感である。ひと昔前の軽自動車に比べて性能や装備が飛躍的に向上し、シンプルに「欲しくなるクルマ」が多いのだ。

とは言え、全長3,400mm以下、全幅1,480mm以下、全高2,000mm以下とボディサイズに制約があり、エンジンの排気量も660cc以下に制限される軽自動車には、スペースやパワーの面で超えられない壁があるのも事実。ライフスタイルの変化や子どもの成長などにともない、「もうちょっと広く」「もうちょっとパワフルに」といった要望を抱き始めている軽自動車ユーザーも少なくないのではないだろうか。

では、そうした要望を満たしてくれるのはどんなクルマか? 広くてパワフルと言っても、ミニバンやSUVでは大きすぎて扱いづらいし、できることなら車両本体価格やランニングコストも最小限に抑えたい。さらに、軽自動車と同じように小回りが利いて使い勝手もよく、それでいて十分な室内空間とパワーも備えている。そんなジャストサイズのクルマとして浮かび上がってくるのが、5ナンバーサイズの中でも小型なコンパクトカーである。

なかでも、「見逃されがちな、いいクルマ」として注目したいのが、ダイハツ「ブーン」だ。「ブーン」は、“大きく使える小さなクルマ”を作り続けてきたダイハツならではのノウハウがふんだんに取り入れられているのが最大の見どころ。軽自動車とは異なり、ボディサイズに制約がない分、自由度の高いデザインが施されたスタイリングや、ガソリン仕様の普通乗用車ではトップとなるJC08モード燃費で28.0km/L(2WD車)という低燃費性能などを実現している。それでいて、車両本体価格は「X 2WD」の1,150,200円(税込)からと、軽自動車からのアップサイズを考えている人はもちろん、コンパクトカーの購入を検討している多くの人にピッタリなクルマなのだ。なお同車は、トヨタにも「パッソ」の名前で供給されているが、そのベースはダイハツが作っており、オリジナルはこの「ブーン」だということは、あまり知られていないのではないだろうか。

今回のレビューでは、内外装の上質なデザインが特徴的な「ブーン シルク(CILQ)“Gパッケージ SAⅡ”」(以下、ブーン シルク)を使って、その“いいクルマ”ぶりを確認していこう。

※マイルドハイブリッド車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車は除く。

今回レビューするのは、内外装に施された専用装備により特別感が強調された「ブーン シルク“Gパッケージ SAII”」の2WDモデル。車両本体価格は1,657,800円(税込)。3,660(全長)×1,665(全幅)×1,525(全高)mmというコンパクトボディに、軽自動車作りで培ったノウハウがぎっしりと詰まった1台だ。ボディカラーは、「シルク」グレード専用となる、ブラックマイカメタリック×マゼンタベリーマイカメタリックのツートーンカラー(メーカーオプション)

まずはエクステリアデザインに注目したい。今回、レビューに使用したモデルは、「シルク」グレード専用のツートーンカラーとなる、ブラックマイカメタリック×マゼンタベリーマイカメタリックのコラボレーション。ビビットな雰囲気と大人っぽい落ち着きが同居した、都会的な街並みに映えるカラーリングだ。ボディカラーはモノトーン12色+ツートーン7色と全19色ものバリエーションが用意され、自分好みのカラーを選べるのもうれしい。

また、細部にわたって、さまざまな意匠が施されているのも「ブーン シルク」の特徴のひとつ。サテン調メッキ&ツヤありブラック塗装のフロントグリルが存在感を主張するとともに、丸目の「Bi-Angle LED ヘッドランプ」はちょっとレトロでありながら先進的な雰囲気で、品のよさが感じられる。さらに、ドアアウターハンドルにはシルバー塗装が施されており、これがサイドビューを引き締めるアクセントに。こうした遊び心あふれる意匠が、軽自動車とも、ほかのコンパクトカーとも違う、「おしゃれなクルマ」という印象を与えているのだろう。

「ブーン」のボディカラーはモノトーン12色。さらに「ブーン シルク」には、ツートーン7色がプラスされ、全19色もの豊富なカラーバリエーションが用意されている

「ブーン シルク」のおしゃれさを決定付けているのがフロントマスク。丸目の輪郭がかわいい印象の「Bi-Angle LEDヘッドランプ」や、「ブーン シルク」専用となるサテン調メッキで囲まれたツヤありブラック塗装のグリルが、洗練された印象を与えている

エクステリアをぐるりと一周すると、遊び心あふれた意匠がそこかしこに見て取れる。乗車するたびに手が触れるドアアウターハンドルにはシルバー塗装が施され、オート電動格納式のドアミラーはボディ同色とブラックの組み合わせ。ほかにも、ピラーやリアバンパーのブラック塗装などが、デザイン上のアクセントになっている

普通乗用車ならではの満足度の高い走り

続いては「ブーン シルク」の走りをチェックしていこう。軽自動車からアップサイズするなら、取り回しや運転のしやすさはそのままに、街中ではよりキビキビと走り、高速道路ではパワフルな加速感を求めたいところ。「ブーン シルク」はこうしたニーズにしっかり応えてくれるのだろうか。

「ブーン シルク」はそのコンパクトボディを生かし、4.6mという軽自動車並みの最小回転半径を実現しており、取り回しのよさは普通乗用車トップレベル。それでいて、車内に乗り込んでみると、いずれの席でも足元や頭上の空間は広々としているから驚きだ。ここでも、ダイハツが軽自動車作りで磨き上げた“大きく使える小さなクルマ”のエッセンスを感じることができた。

また、前方視界がよく車両感覚をつかみやすいので、幅の狭い生活道路でもスイスイ運転できる。一般的な軽自動車やコンパクトカーのなかには、ハンドルが軽すぎて頼りない印象を受けるモデルもあるが、「ブーン シルク」のハンドルには適度な重さがあり、ハンドルを切った分だけ素直にクルマが曲がっていく。今回、レビューを行った女性スタッフは、「普段乗っている軽自動車と同じくらい、いや、それより運転しやすいかも」と、「ブーン シルク」の扱いやすさに納得の様子だった。

コンパクトな外観からは想像できないほど、室内は広々。高めの着座位置によって前方の視界が広く、見晴らしがよいため、肩の力を抜いて軽やかに運転できた

「ブーン シルク」の最小回転半径は軽自動車並みの4.6m。コンパクトボディと相まって、取り回しがとてもラクだ。道幅の狭い生活道路を走る際や、駐車スペースへバックで入庫する際も、車幅感覚がつかみやすいうえ、周囲の状況が把握しやすいので、不安なく運転できる

「ブーン シルク」に搭載されるエンジンは、直列3気筒1.0リッターの自然吸気エンジン。最高出力は51kW(69PS)/6,000rpm、最大トルクは92Nm(9.4kgm)/4,400rpmと、数字だけ見るとさほどパワフルな印象を受けないが、約910kg(2WD車)という軽量ボディもあって想像以上に力強く、キビキビとした走りを披露してくれる。

一般的な軽自動車やコンパクトカーの場合、発進時にアクセルを強めに踏み込まないとなかなかスピードに乗ってくれないモデルもあるが、「ブーン シルク」の場合は、信号が青に変わったら、ブレーキから足を離し、クルマがクリープ現象で動き始めたところでそっとアクセルを踏み込めば、それで十分。スッと周囲のクルマの流れに乗ってゆとりを持って走れるのだ。

さらに、高速道路に上がってみると、そのゆとりは一層強く感じられる。本線への合流時や、追い越しの際にアクセルを強めに踏み込むと、こちらの思うままスムーズに加速。しかも、車内にエンジン音を響かせ、「がんばってます!」と言わんばかりに必死な状態で走ることもなく、涼しい顔して100km/h程度まで一気に加速してくれるのだ。これなら、車内の会話や、周囲の景色を楽しみながら、ゆったりとした気持ちでドライブを楽しむことができるだろう。

なお、ガソリン仕様の普通乗用車ではトップとなるJC08モード燃費で28.0km/L(2WD車)という低燃費性能を確かめるため、レビュー時の実燃費を計測してみた。今回は一般道約30km、高速道路約200kmの、計約233kmを走行。レビュー当日は気温が高く、走行時は常にエアコンを使用していた。レビュー後の給油量はピッタリ10.0Lで、実燃費は約23.3km/Lという結果に。普段使いするコンパクトカーとしては十分な燃費性能と言えるだろう。

※マイルドハイブリッド車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車は除く。

ストップ&ゴーの多い街中での走行はクセがなくとてもスムーズ。信号待ちからのスタート時もアクセルを少し踏み込むだけでグッと加速していき、すんなりと周囲のクルマの流れに乗ることができた

1.0リッターエンジンといえど、車重が1tを切るコンパクトカーとしては十分パワフルで、アクセルの踏み込みに合わせてイメージ通りに加速してくれる。平日は街乗りが中心だが、週末には遠出もしたいという人には、パワー面でも、燃費面でも、満足度の高いクルマと言えそうだ

また、「ブーン シルク」には、フロントガラスの上部に備えられた単眼カメラと、フロントグリル内のレーザーレーダー、車体後部のソナーセンサーで周囲の状況を検知するダイハツの先進安全技術「スマートアシストⅡ」が用意されている。「スマートアシストⅡ」とは、以下の5つの機能によって、安全運転をサポートしてくれる技術だ。

1衝突回避支援ブレーキ機能

低速から中速まで広い車速域で、先行車との衝突の危険性が高まった場合に緊急ブレーキで減速。衝突回避または、被害軽減をサポートする。

2衝突警報機能(対車両・対歩行者)

走行中に前方の車両や歩行者を認識し、衝突の危険性があると判断した場合に、ブザーとメーター内表示で知らせる。

3車線逸脱警報機能

道路上の車線を認識後、車線から逸脱しそうになると、ドライバーへ警報し、逸脱回避操作を促す。

4誤発進抑制制御機能(前方・後方)

約10km/h以下で障害物を認識後、踏み間違い(アクセルペダルを強く踏み込んだ場合)を判定してエンジン出力を抑制し、ブザーとメーター内表示で知らせる。

5先行車発進お知らせ機能

信号待ちなどで前のクルマが発進したことに気付かない時、ブザーとメーター内表示で知らせる。

さらに、衝突安全ボディ「TAF」や、乗員にやさしいインテリア「SOFI」の採用により、「ブーン シルク」は、独立行政法人 自動車事故対策機構(JNCAP)による新・安全性能総合評価において、最高ランクとなる「ファイブスター賞」を受賞している。

高効率パッケージングによる使いやすい室内

最後はインテリアデザインや室内の使い勝手をチェックしていこう。「ブーン シルク」のドアを開けると、室内空間が想像以上にゆったりとしていることに驚くが、この広さを感じさせる理由のひとつとして、インテリア全体がシンプルにまとめられていることがあげられる。水平基調のダッシュボードや、シフトノブ横に集約されたシンプルなエアコンの操作ボタンなどにより、視覚的な広がりが感じられるのだ。

インパネは、操作ボタンやスイッチが少なくすっきりとした印象だが、エアコンの吹き出し口周りや、オーディオパネルにはシルバー&マゼンタ加飾が施されており、センスのよさが感じられる

また、シート表皮はインパネのカラーリングに合わせ、ブラックを基調に、グレージュとマゼンタのアクセントカラーが取り入れられたスエードを採用。フロントシートは、国産コンパクトカーでは唯一となるベンチシートが採用されているため、運転席と助手席間の移動もラクな姿勢で行うことができ、狭い駐車スペースなどで助手席側から降りなければならない状況でも便利だ。リヤシートの居住性も十分なもので、大人3人が余裕を持って座れるのは、軽自動車にはない、普通乗用車ならではのメリットと言えるだろう。

フロントシートはベンチシートを採用。足元スペースが広々としており、シートもしっかりと体を受け止めてくれる。シート表皮はグレージュとマゼンタのアクセントカラーが取り入れられたスエード調トリコットが採用されており、手触りもよい

運転席にスタッフが乗車した状態で、女性スタッフがリヤシートに座ってみた。足元空間が十分に広いうえ、ルーフが後端まで水平に伸びた形状となっているため、頭上空間にもかなりのゆとりがあった

リヤシートに3人乗車してみた。お互いの肩が多少触れてはいるが、無理な姿勢を強いられているわけではなく、長時間の移動でなければまったく問題ない。いざという時、5人乗車できるのは心強い

さらに、小さな軽自動車にさまざまな小物収納や便利機能を取り入れてきた、ダイハツらしい装備が数多く採用されているのも「ブーン シルク」の特徴となる。車内を見渡すと、具体的な利用シーンがあれこれ想像できそうな気の効いた収納が、随所に散りばめられているほか、前席はもちろん、後席にも紫外線を約99%カットするスーパーUVカット機能付きガラスが採用されるなど、特に女性ユーザーを意識した装備が複数見られる。

また、ラゲージスペースは、普段使いに対応する十分な容量が確保されているが、リヤシートが分割可倒式のため、スポーツグッズやインテリアアイテムなど、長尺物の積載にも対応。こうした「いざという時」への対応力の高さも、クルマ選びの際の重要なポイントとなるはずだ。

車内には工夫を凝らした小物収納が散りばめられている。引き出し式のカップホルダー(左上写真)はもちろん、収納物を目立たせないためのリッド付きのインパネアッパーボックス(右上写真)、手さげバッグやショッピングバッグがかけられるショッピングフック(左下写真)、運転用の靴などをしまっておける助手席シートアンダートレイ(右下写真)など、ダイハツ車らしい便利な装備が随所に備わっている

日焼け対策は前席だけで、後席はおろそかにされがちだが、「ブーン シルク」は、前席に紫外線を約99%カットし、さらに赤外線も効率的に遮断するスーパーUV&IRカット機能付きガラスを、後席にもスーパーUVカット機能付きガラスを採用する

リヤシートは6:4の分割可倒式。片側だけ倒した状態で、飛行機の機内に持ち込めるサイズのスーツケースを2つと、長さ約130cmのロール状のカーペットを余裕で積み込むことができた。コンパクトカーとしては、十分な容量だと言えるだろう

まとめ

軽自動車が手狭に感じるようになり、アップサイズしたい人や、初めてのクルマを探している人にとって、取り回しがよく、価格もリーズナブルで、燃費性能にすぐれた普通乗用車のコンパクトカーは魅力的な選択肢だ。では、具体的にどんなコンパクトカーを選べばよいのか? それは、軽自動車の利点をしっかりと取り込みつつ、普通乗用車ならではの走りのよさや、居住性の高さ、デザイン性のよさが実現されたクルマだと言える。そして、そんなクルマを作らせたら、ピカイチなのがダイハツというメーカーであり、そんなダイハツが作ったのが「ブーン」というクルマなのである。

ともすると、競合他車の影に隠れ、見逃されがちになってしまいそうなクルマではあるが、すべてにおいてこれほど完成度の高いクルマはほかにないようにも感じる。そんな、「発掘感」も味わいつつ、デキのよいコンパクトカーとはどういうものかを「ブーン」から感じてみてほしい。

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