DEVELOPER'S TALK

COPENの世界を広げる
新しい価値観。

ダイハツ工業株式会社
コーポレート本部
商品企画室
殿村 裕一
Yuichi Tonomura
コーポレート本部
商品企画室
相原 泰祐
Taisuke Aihara
※担当者・部署名は2019年10月時点のものです。

「COPEN GR SPORT」とは、一体どんなクルマなのか。STANDARDグレードやSグレードに対して、どのような位置付けにあるのか。このクルマの魅力について、まずは商品企画室の殿村裕一および相原泰祐に、開発に至る経緯や意図を中心に語ってもらった。

走行性能の向上を求める
ユーザーの声に応えるために開発スタート。

「COPEN GR SPORT」というクルマの開発・発売に至った経緯は?

殿村: 2014年から発売された現行の2代目 COPENは、外装を着せ替え可能なDRESS-FORMATIONによって、“Robe”、“XPLAY”、“Cero”というバリエーションを展開し、さらに走りを強化したSグレードも加えました。アフターマーケットから自然発生したものも含め、モデルの広がりはある程度実現はできていましたが、発売から5年経ち、次の一手を打つ必要性を感じていました。初代COPENの時は、毎年何かしらの企画を打って、新しいエディションを販売していましたが、2代目ではそれがなかなかできなかったですしね。このような企画は市場のニーズがあってこそですが、実際に営業チームからお客様のご要望も届いていました。

相原: オーナーイベントに参加されたお客様のアンケートなどでは、COPENに対して「さらに走行性能に磨きをかけてほしい」というご要望をいただいていました。2代目のCOPENは走行性能が向上しましたが、楽しい走りを体感したお客様がさらに上質な走りを求めているのだと感じました。

殿村: COPENはスポーツカーとして開発したクルマですが、その一方で親しみやすいオープンカーでもあります。カスタマイズに親和性もありますし、見た目のモデルバリエーションを広げる方向でのご要望が多いのではと思っていたのですが、実際には操縦安定性やこれまでのCOPENにはないスポーツ性を突き詰めてほしいという声が多かったんですね。一方でトヨタさん側からも、TOYOTA GAZOO Racingのバリエーションをもっと充実させたいという思いがありました。そうしたお互いの課題がうまく合致したわけです。

相原: そこでメーカーの垣根を越えて、TOYOTA GAZOO Racingのモータースポーツで培ってきた知見の共有を通じて、アイデアを出し合いながらダイハツが商品化したクルマ、それが「COPEN GR SPORT」というクルマになります。

目指したのは、意のままに
操ることができる、気持ちのよい走り。

「COPEN GR SPORT」で目指した商品の方向性は? またその実現に向けて苦労したことや印象に残っていることは?

相原: 操縦安定性やスポーツ性を突き詰めて欲しいというユーザーからの要望にお応えする為に、「意のままに操ることができる、気持ちのよい走り」の方向性としました。クルマにとって、走りも商品の一部ですし、それがよりCOPENの魅力を広げるようなクルマにしたいと思いました。

殿村: 現行COPENは、一般的なモノコック構造とは異なり「D-Frame」に樹脂の外板という構造になっています(除く左右ドア)。骨格だけで必要な剛性が確保されている為、DRESS-FORMATIONが可能となっています。そのボディ剛性は、スポーツ性を高めても許容できる発展性を備えていると思います。前輪駆動ですがリアがよく粘ってくれ、四輪接地感が高く、旋回性も高い。その強みにさらに磨きをかける方向で商品企画を成立させたいと思いました。

相原: COPENは最も身近なスポーツカーです。運転が上手い人も、あまり得意でない人もお乗りいただきたくさんの方に愛されているクルマです。運転の仕方は人それぞれですので、それを受け入れたうえで「意のままに操れるクルマ」にさらなる磨きを目指しました。口で言うのは簡単ですが、実際に実現するのはとても難しい。そこで、製品企画、設計、実験と、実施する開発フェーズに、商品企画としても積極的に参加しました。一緒に全国のテストコースやサーキットを走って、その場で商品企画の目指す方向性について意見を出し、開発に織り込んでいきました。時にはデザイナーも実際に滋賀のテストコースを走ったりしました。商品企画として、目指す走りの方向性を走って確認し、意見を交換しながら進めたのです。

こうして生み出された部品の一例が、フロントバンパーエアアウトレットだ。詳しくはインタビューVol.3で解説していただく。

殿村: 「COPEN」は最も身近なスポーツカーですが、性能を追求するスポーツカーだからこそ現地現物で確認が必要だったんですね。お客様の期待に応える為にも、妥協は許されないですから。

相原: クルマ好きの開発メンバーが集まって、アイデアを出し合うことでお互いに刺激され、非常に充実した、楽しい仕事でしたね。

あらゆる道で、
しなやかな走りが楽しめる。

COPEN GR SPORTの魅力は? またSTANDARDグレードやSグレードとの違いは?

殿村: STANDARDグレードはベーシックなスポーツカー。乗り手の技量を許容して、誰もがオープンエアーを気軽に楽しむことができるクルマです。

相原: バランスがよいので、その分近所の買い物や気軽なドライブにも向いています。アクティブトップなので週末はスイッチ一つでオープンにして非日常感を味わえます。

殿村: そしてドイツのアウトバーンで育ったビルシュタイン製サスペンションを採用したSグレードは、路面からの入力や、ステアリング操作などアクションに対してのリターンが多い、ハードで刺激的なクルマ。例えば、週末に自分なりのドライビングコースを走って解放感を味わうのにピッタリだと思います。

相原: レカロシートやMOMO製ステアリングなど、スポーツマインドをくすぐるアイテムが充実していて、乗った瞬間から非日常感を味わえるクルマですね。

殿村: これらに対し、「COPEN GR SPORT」は日本の道に合わせて、乗り心地と操縦安定性のバランスをより高めたグレード。包容力と許容力が一段と増して、スポーツカーの裾野を広げてくれるクルマになりました。

相原: 日常からサーキットまで、しなやかな走りが楽しめます。もともと操縦安定性のいいCOPENですが、路面追従性がさらに向上して4輪接地感が高くなり、タイヤ全体で曲がれます。初めて走る道、ワインディングでも安心して走ることができますし、ドライバーはもちろん、助手席の人も笑顔になれるクルマに仕上がりました。

殿村: 試乗したスタッフの一人からは、「クルマの横幅が広がったような感じがする」と言われました。それだけ安定感が増しています。この進化は誰が乗っても感じられると思います。

相原: 速度が高まっても空力性能がよくなっているのでずっと安定して走ることができます。高速道路でも直進安定性が高く、長距離走行でも疲れにくいと思います。いろいろな道を体感走行しましたが、狙いの商品性が実現されているのを確認しました。

次回、第2回目のインタビューは車両性能開発チームが「COPEN GR SPORT」の性能面について詳しく語ります。
※“TOYOTA GAZOO Racing”はトヨタ自動車株式会社の商標です。
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